(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))
✔ 彼女と琥珀糖を作っていたとき、イングランドで見た、ばらばらに砕けたステンドグラスをつなぎあわせて作った、いびつだけれど美しいステンドグラスを思い出した。
✔ 私もジェンダーのトゲでずたずたになった自分をつなぎあわせて新たな自分を作った。たとえいびつで不規則だったとしても、彼女に愛してもらえる新たな自分を愛しく思う。
彼女と琥珀糖を作った。透明な寒天をお砂糖と一緒にとかして色をつけ、固まったところでくだくと、宝石のような琥珀糖がバットの上にこぼれおちた。
ふと、イギリスのウィンチェスターで見たステンドグラスを思い出した。
ヨーロッパのステンドグラスはみな、整然としている。聖人の姿を描くもの、綿密なカラーバランスのもとで配置されているもの…。
だが、そのステンドグラスは、カラーパレットの色をぐるっとかきまぜてちぎったような、そう、琥珀糖のようなステンドグラスだった。さしこむ光の中で、虹色の目をした、無秩序な幾何学図形たちが笑っていた。
見惚れる私に、おじいさんが話しかけてきた。「面白いことになってるだろ?17世紀の内乱で元のステンドグラスが粉々になっちまって、その破片を拾い集めてはめこんだらこうなったんだよ」
私は、30年間ジェンダーの箱の中で生きてきた。箱の中にはトゲがついていて、少しずつバラバラになった。ラジャさま&きゃんきゃんと出会って、箱がはじけ飛び、破片が飛び散った。それを拾い集めて、今の私ができた。
お化粧はしない。
ハイヒールをはくこともない。
祖母に恋人がいることを報告することもない。
法的に結婚することはない。
子どもを生むこともない。
ママ友ができることもない。
夫の愚痴をこぼすこともない。
箱の外にとびだしたとき、私は、「普通」の人生、ステンドグラスみたいに整然とした、計画的な人生のレールから、外れた。奥深くて複雑で苦しい「性」の世界でくだけちって、もがいてできた私のステンドグラスは、いびつで不規則だ。
それでも…、私は、自分のステンドグラスを愛している。整然とした美も、くだけた美もあっていい。いまはそう思える。何より、彼女は、私のステンドグラスを愛してくれる。私が彼女のステンドグラスを愛してやまないように。
彼女が差し出してくれた、できたての琥珀糖は、あまくて、やわらかくて、もろくて、でも、あたたかな味がした。
コメント / COMMENT
[…] (「性」のステンドグラスはくだけてまざる/The Stained Glass of Sex Crack’d from Side to Side)ズタズタになった自分をつなぎあわせたら、いびつだけど愛しいステンドグラスができた。I re-constructed myself damaged by stereotypes of gender like Winchester stained-glass. […]
愛する相手から愛されて、
自分でも自分のことを大事にしようって思わせてくれる相手に
どれだけの人が出会えるんだろうね。
そう人に出会えるって奇跡みたいだよね。
ちろちゃん、おめでとう!
それから今まで苦しかったこと知らずに傷つけてごめんね
どうか2人で末永く幸せになってね
おめでとう
[…] […]
[…] うおっ。急に叫ばないでよ、びっくりして琥珀糖おとしちゃったじゃん! […]