塵(マイクロ)アグレッションも積もれば山となる

レシピ / RECIPE

(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))

✔ マイクロアグレッション(何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下しや侮辱)は少しずつ、しかし着実に蓄積ダメージを与えてくる

✔ ほとんどの場合悪気がないのはわかっているのだが、小さなトゲも、刺さり続ければ命を奪うかもしれないということに、思いを馳せてほしい

小さい頃、祖母の料理を手伝っていて、魚のトゲが指に刺さってしまった。祖母は「こういう小さなトゲは血管に入って体の中を巡って、最後には心臓に刺さってしまうから、絶対に放っておいちゃだめよ」と言いながら抜いてくれた。

きゃんきゃんと付き合いだしてから、人の発言にひっかかりを覚えることが増えた。
-「私はゲイの友達もいるし、【そういうのに】偏見ないから」と言ってくる友達。
-「海外に移住した方がいいかもしれないね」と澄んだ瞳で「助言」してきた同僚。
-「あなたが【そっちの道】に進んだとはびっくりだなあ」と苦笑する先輩。
-お高めレストランの予約で「デートでの利用です」と言ったら、「彼氏さんは幸せものですね!」と返してきた店員。
-きゃんきゃんと手をつないでいたら、「L・G・B・T!」と笑いながら叫んできた男性。

厄介なことに、ほとんどの場合、こうした発言は知識不足や無意識からくるもので、そこに悪意や憎しみはない。輝く笑顔でどっちが男役なの?とか聞かれると、とっさに強く出れず、「あはは・・・」とふにゃふにゃ返してしまう。そしてひとりでもやもやする

・・・という話を、フェミニズムとクィア関係の記事を積極的にあげているウェブメディア「ユニコーンはここにいる」(ゆにここ)の編集者の皆様に話したところ、「全部まじめに受け止めようとすると、積もり積もってひどく疲れてしまうから、無理はしないでくださいね」とおっしゃった。

そのお言葉で、祖母の話を思い出した。小さなトゲでも、
日々の中で少しずつ、
心の奥深くに入り込んで、
いつか、
とどめをさされてしまうかもしれない

ネットでは「日本はLGBT+に寛容」とか「LGBT+の人は権利を主張しすぎ」とか、刺さったら即死の巨大なトゲ(同性愛で死刑になる等)しか想定していない議論がたびたび飛び交うが、小さなトゲも、刺さり続ければ命を奪うかもしれないということに、思いを馳せられる人がもっと増えてほしい。「多様性を尊重する社会」って、きっとそういうことなのだ。

コメント / COMMENT

  1. […] ㉖(塵(マイクロアグレッション)も積もれば山となる/Many Microaggression Makes a Mickle)マイクロアグレッション、それはゆっくりと心臓に刺さる毒。Even microaggression can kill you if it accumulates. […]

  2. […] つまり、8割くらいの打率で傷つくことになる(「配慮」や「理解」にはそこまでのダメージはないのでは、と思うかもしれないが、マイクロアグレッションの記事で触れたとおり、「ちりも積もれば山となる」のだ)。  […]

  3. […]  こういう経験(まさにマイクロアグレッションですな)は、これが初めてではない。 […]

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