厚労省で半年「性のマイノリティ」勉強会をやってみたらこうなった

レシピ / RECIPE

本レシピのポイント(作成者:ちろちろ)

✔ 前回ご紹介した厚労省noteでちょっと登場した「マイノリティに関する省内勉強会」について、その成果が厚労省の広報誌「厚生労働」に掲載されました!

✔ きゃんきゃんにまた「文字が多い」と言われる前に(^^;)先手を取って概要をまとめましたので、「ちょっと気になるぞ、読んでみようかな」という方、ぜひご参考にしてください!!

ちろちろ
ちろちろ

前回記事で少し話した、「性のマイノリティ(LGBT+や女性)」について考える厚労省内の勉強会今月の広報誌「厚生労働」にまとめが掲載されたよ!気合の入った内容なので、沢山の人に読んでもらえたらいいな。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

あー、去年の冬から一生懸命やってたやつね。そもそもどういう経緯で始めたんだっけ?

ちろちろ
ちろちろ

このブログを運営する中で学んだことをどう業務に活かせるかずっと考えていて、省内の他の人とも意見を交わしてみたいと思っていたのよ。そしたら最近、厚労省で職員が自由にテーマを提案できる研修「とびラボ」が導入され、飛びついたというわけ。

ちろちろ
ちろちろ

記事内の「企画提案者の思い」、長めだけど全文引用するね。

●誰もがマジョリティにもマイノリティにもなりうる社会で

 厚生労働省は、「ひと、くらし、みらいのために」—将来にわたって、皆が安心して暮らせる社会をつくる—という使命を掲げ、さまざまなご意見を伺いながら政策を立案していますが、社会的少数派(マイノリティ)の意見や実情を見落としてしまっているとのご批判もしばしばいただきます。

 一方で、この社会では状況や環境次第で、誰もがマジョリティにもマイノリティにもなりえます。私は、愛した人が同性であったことから、そのことを痛感し、マイノリティも含め、より多様な立場や意見を反映することで、より多くの「ひと、くらし、みらい」のための政策を実現したいと、本企画を提案しました。

 この半年間、さまざまなマイノリティのなかで特に「性のマイノリティ」(女性やLGBT+)に焦点を当て、4回の勉強会と1回のワークショップを重ね、「マイノリティの存在を踏まえた政策立案に向けた宣言」をとりまとめました。本企画が、厚生労働省のこれからの政策形成に一筋の道を示すものとなれば幸いです。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

おお!ここでもカミングアウト(自らの性的指向を表明)したんだね。

ちろちろ
ちろちろ

もともと省内ではカミングアウトしてるけど(下記記事参照)、省外の人や、厚労省で働くことを検討してる人にも、「厚労省にも当事者がいて、性のマイノリティについて考えてるよ」というメッセージを送りたいなと。

2008年からこのキャッチフレーズを使用しています
ちろちろ
ちろちろ

この勉強会で何をしたかというと、
〇4回の外部有識者によるご講演
〇1回のワークショップ(学んだことを踏まえて、提言をまとめる)

です!概要は以下の通りです(詳細は広報誌で^^)

①講演1:マイノリティ/マジョリティとは何か
講師:出口真紀子さん(上智大学外国語学部英語学科 教授)

講演内容:本勉強会の前提となる
「マジョリティ/マイノリティってなに?」
「マジョリティ/マイノリティが存在する社会では、どんな問題が起こるのか?」

「どうすれば問題を解決できるのか?」
について、簡潔明瞭にお話しいただきました!

②講演2:見えない弱者、見えていない強者
講師:小島慶子さん(東京大学大学院情報学環 客員研究員)

講演内容:「女子アナ」としてジェンダーの壁にぶつかったことや、育児や海外移住のご経験を踏まえ、物事を複層的な観点から捉え、「強者/弱者」の構図とその課題に目を向けることが重要であると熱く語っていただきました!

③講演3:コロナ禍で孤独深める若い女性たち
講師:橘ジュンさん(特定非営利活動法人BONDプロジェクト代表)

講演内容:問題を抱えて街をさまよう10~20代の女の子を支援する活動をされている橘さん、彼女たちの声を「聴く」「伝える」「つなげる」ことが重要だと、具体例を挙げ、図を示しながら詳細に語ってくださいました。

④講演4:性的マイノリティの困難と現状
講師:松岡宗嗣さん(一般社団法人fair 代表理事)

講演内容:日本社会を生きるLGBT+の人たちが日々どのような困難に直面しているのか、それに対してどのような解決策が提示できるかということについて、「ジェンダー」や「アウティング」などの用語を丁寧に解説しつつ、わかりやすくお話いただきました!

⑤ワークショップ:講演を踏まえて、厚労省の政策形成の在り方を考える
参加者:厚生労働省職員(講義受講者)
内容:講演を通じて学んだこと、考えたことをこれからの厚労省の政策形成に活かしていくために、受講者として何ができるか話し合い、「マイノリティの存在を踏まえた政策立案に向けた宣言」(下記参照)をまとめました!

マイノリティの存在を踏まえた政策立案に向けた宣言

 私は、本企画を通じ、性別・性的指向・性自認は全ての人に関係する概念であり、その多様性を知り、尊重し、支援する必要があることと、それを踏まえた政策立案・広報の重要性に気づきました。

 この経験を活かし、様々なマイノリティ性や生きづらさについての学びを深めていくとともに、「性」に関する生きづらさについては、具体的に、以下のことに取り組みます

1 私は、性別・性的指向・性自認に関するハラスメント(性的指向・性自認に関する本人の同意のない漏洩等、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動等)を行わず、他人が行っていた場合は直ちにやめるよう求めます

2.私は、自らを含む厚生労働省の全職員が、その性別・性的指向・性自認にかかわらず、差別的取り扱いを受けずに活躍できる職場環境の実現に取り組みます

3 私は、差別や偏見のない政策立案・広報に向け、性別・性的指向・性自認に関する国や地方自治体の施策や民間の先進的な取組、当事者・関係者の意見を積極的に知るとともに、マイノリティの存在を見落としていないかという視点を持つよう心がけます

「マイノリティの存在を踏まえた政策立案に向けて」受講者有志

きゃんきゃん
きゃんきゃん

…。

ちろちろ
ちろちろ

ご、ごめん、長かったかな。。。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

いや。深夜まで調べものしたり、厚労省の人と議論したりしてたのが、きちんと形になってよかったね。私は性的マイノリティのひとりとして、政府に見向きもされてないって思いがずっとあったから、たとえ小さな一歩でも、厚労省でこういうことを考えてくれてる人がちろ以外にもいるってわかっただけでも、すごく嬉しいよ。

ちろちろ
ちろちろ

それはよかった!
今回の勉強会が、新たな取組のきっかけになるよう、これからも頑張るよ。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

うん!できることから一歩ずつ、世の中をよくしていけるといいね。

コメント / COMMENT

  1. 小原貴朗 より:

    自分は性に対してはマジョリティですが、仮にマイノリティだったとしたら、マジョリティを装わないと生きづらさを感じる日本社会だと思います。
    個性を出せずに長いものに巻かれる遠慮がちな日本人です。
    ちろちろのように裏表なく発信するのは勇気がいるなと感心しっぱなし。
    ちろちろのこと応援します!!

    • Candice / Chihiro より:

      コメントありがとうございます!そうおっしゃっていただけて感無量です。
      つい最近も、国会議事堂の前でデモをしていた方のひとりがこれまでしてきた辛い経験を語り、来世はゲイに生まれたくない、とおっしゃっていました。
      私も時々、彼女か私が男だったら、もっと話は簡単だったと思うことがあります。
      私たちの世代は無理でも、次の世代がこんな思いをしなくてすむように、少しずつでも活動を続けていきたいです。

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