いにしえの きおくちらして さくらさく

レシピ / RECIPE

(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))

✔ 英国の桜を見て、「日本らしくない」と思ったけれど、

✔ その気持ちが、「最近つくられたもの」だと気づいたお話です。

さくらの季節である。

はらはらとピンク色の花弁を青空に漂わせる姿に、春の訪れを感じる。

霞ヶ関(日比谷公園)の桜

イギリスに留学していたころも、何回か桜を見かけた・・・が。

ヨークの桜は、こんなに散りはしなかった。どんなに風が吹いてもしぶとく耐えていた。

ヨークの桜

ロンドンの桜も、こんな薄いピンク色ではなかった。かなり濃い紅色だった。

ロンドンの桜

イギリスは寒いから、強く進化したのか・・・?と、思っていたが。その後、「チェリー・イングラム」と呼ばれるイギリス人の存在を知り、認識を大きく改めることとなった。

明治時代、日本に来た彼は、桜に、その種類の多さと多様な美しさに、惚れた。そして、憂えた。

きっとこの国は、これから(大英帝国同様)商業主義に呑み込まれる。そうしたら、この多様な美しさも消えてしまうだろう…

彼は、集められるだけの桜をイギリスに送った。

懸念はすぐ現実になった。「ソメイヨシノ」という新しい品種が、成長が早く、かつ、
―花が葉っぱより先につくので見た目が華やかである
―クローンのため一斉に咲いて一斉に散り、美しい桜吹雪を見せる

という理由から全国に植えられ、他の品種の息の根を止めていった。


それと並行して、日本国民は
―国のためにその命を散らすことを美徳とし、
―全体主義のもと、第二次世界大戦に突き進んでいった。

多様な考え、多様な可能性の息の根を止めながら。


そして…150年後の現在も、ソメイヨシノは圧倒的な【さくら】として、日本に君臨している。私たちはそれまでずっと多様な「桜」を見て、愛でていた。でも、今はそのことをすっかり忘れている。私が、イングラムがイギリスに持ち帰った「桜」を、「日本のさくらと違う」と思ったように


桜に限った話ではない。
夫婦同姓だって、
異性婚だって、
今あたりまえのように思っている制度の多くは、明治時代の産物だ。でも、そのことをすっかり忘れて、制度の変革を試みる人たちを「日本になじまない」と批判する人たちが沢山いる

色んな「桜」があっていい。
色んな「桜」を植えていい。
色んな「桜」を楽しんでいい。

明日、さくらを見かけたなら。
舞い散る花弁を、掌で受け止めたなら。
古の、桜の記憶を、思い出してほしい。

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