国家公務員の大量退職が続く理由

レシピ / RECIPE

厚生労働省で勤務してしばらくになる。「強制労働省」と揶揄される長時間労働もあり、元々辞めたり転職したりする人が多い職場であるが、この夏は、特に退職が多い。

私自身、今回の改造内閣の顔ぶれを見て咄嗟に「辞めたい」と思ったので、他人事ではない。

皆、それぞれの葛藤や苦悩の中で決断したのだろうが、特に「ああ、わかるなあ」と思ったのは、高埜さんという国家公務員の方の退職理由だった(リンク先のNoteから読めます)。

高埜さんは、以下のように述べている。

他律的な業務が多く…(中略)…自分のしている仕事が国民のためになり、国を良くしていくのだという自信と納得感が得られない日々が続きました。(中略)耐えようという気力は、もう残っていませんでした

(高埜さんのNoteより一部抜粋(https://note.com/takano_shiho/n/nf79d997493cd))

高埜さんがおっしゃる通り、国家公務員の仕事には、何のためにあるのかよくわからない「慣習」や「伝統」が非常に多い。例えば、私が入省したころは、分厚い文書を一つにまとめる時になぜか「錐で穴をあけて、こより閉じ」していた。意味が分からないと思うが、そういうルールだった。

ひとつひとつは、まあ慣れてしまえばそんな物かな、というものでも、積もり積もると、高埜さんのように、何のために仕事をしているのか、だんだんわからなくなってしまう

今回コロナという前例のない病が襲ってきたことによって、そういう「慣習」や「伝統」(テレワークが難しかったり、審議会などが引き続き対面原則だったり)が一気にクローズアップされて、しんどさマシマシになって、この夏の大量退職につながったのではないだろうか。

本ブログの読者の方は、「そういう話、どこかで聞いたことが…」と思われたかもしれない。そう、この「ちりも積もれば山となる」構図は、マイノリティが日々苦しんでいる、「マイクロアグレッション」(日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下しや侮辱)に似ている。

だから、「私はマジョリティ側」と思っている人も、マイクロアグレッションの苦痛は決して他人事ではない。バイトをする際に「勤務時間中に水を飲んではいけない」「椅子に座ってはいけない」などの謎ルールに苦しんだり、会社のハンコ文化や飲み会の慣習にうんざりしたりした経験は誰にでもあるはずだ。日本社会にはそんな「伝統だし、それくらい我慢すればいいじゃん」ルールが沢山ある

上の世代はずっと我慢してきたんだろう。でも、だからといって、私たちも我慢しなければならないわけではない。もう十分我慢した。今夏の公務員の大量退職は、沢山の人が我慢の限界に達していることを表している。取り返しがつかなくなる前に、声をあげて、変えるべきだ

前述の謎のこよりルールは、(公務員の働き方の改革を望む声の高まりから)2020年10月、当時の河野大臣の決断で廃止された。マイクロアグレッションの塵が私たちの心を干からびさせてしまう前に、できることから一歩ずつ、身の回りに溢れる「謎の我慢」を取り除いていこう。

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