タイトな異性愛にねじこまれてんだよ(# ゚Д゚)

レシピ / RECIPE

本レシピのポイント(作成者:ちろちろ)

✔ 映画『バズ・ライトイヤー』が同性同士の恋愛描写のため14か国で公開禁止になったことについて、同性愛を有名作品に「無理やりねじ込む」のはやめてほしいというツイートを見たので、

✔ それどころか、無理やりいないことにされてますがな、という話をします。

6月中旬、映画『バズ・ライトイヤー』が同性同士の恋愛描写(数秒のキスシーン)のため14か国で公開禁止になったことについて、こんな趣旨のツイートがなされた(現在は削除)。

〇(LGBT+について)人に迷惑かけないなら好きにして

〇でも、有名作品とかに無理やりねじこんで世界観壊すのは辞めて

タイムラインに流れてきたそれを見かけた2秒後には「無理やりねじこまれとるのは異性愛のほうだろ!」と反論ツイートしていたが、ふと、アメリカに留学していた後輩の話を思い出した。

後輩
後輩

アメリカでも日本のアニメを流してるんですけど、同性同士が(身体的に)接触を持つ描写が検閲されて消されてることが多いんですよ。例えばアニメ版セーラームーンのはるかとみちる(女性同士のカップル)は、アメリカだと「いとこ同士」っていう設定。

後輩
後輩

そう言うとアメリカのほうが酷く見えますけど、むしろ、アメリカでは、同性同士の恋愛が「子どもに悪影響を与える脅威」とみなされるほどメジャーなんじゃないかって。反対に日本では、同性同士の恋愛はあくまでフィクション、「存在しないもの」であって、脅威とすらみなされてないんじゃないかって思うんです。

後輩の推察が正しいなら、こんなツイートがされるということは、少しは日本社会でも同性同士の恋愛が「存在する」という認識が広まってきたということなのだろうか?

…いや。そうではないだろう。

日本のアニメや漫画は「同性同士の恋愛【ともとれる】描写」でお茶を濁すことが多く、真正面から同性同士の恋愛を描いた作品はほとんどない。どんなに身体的にくっつこうが、精神的に執着しようが、「これは友情だからセーフ!」と言える「逃げ道」を残してある。

というか、だからこそ二次創作の世界で「BL」「百合」が盛んなわけだ。原作では絶対同性同士でくっつかないという「前提」があるからこそ、同性同士が結ばれる世界を「妄想」できる。

原作の世界では「ギリギリ友情」として、
二次創作の世界では「腐の幻覚」として、

「同性愛はフィクション」という大前提が
異性愛者によって生み出され、
消費される
すべては異性愛のタイトな枠の中で。
それが日本のアニメ・漫画社会の大勢だ。

だから、ほんの数秒同性愛者が登場しただけでも「無理やりのねじ込み」になる。ないはずのものがある、不自然だ、迷惑だ、世界観を壊す、と。
(※)長編漫画ワンピースでトランスジェンダーぽい脇役がちょっと描かれただけでこんな仰々しい記事が書かれるぐらいだ。

もちろん、何の希望もないわけじゃない。
・「きのう何食べた?」
・「作りたい女と食べたい女」
など、「同性愛(者)は現実に存在します」というメッセージを正面から打ち出し、かつ商業的に成功している(≒異性愛者に「受容されている」)作品は出てきている。

でも、逆に言うとまだその段階なのだ。
同性同士のカップルを明確に話の主軸に添えて、
「私たちはここにいるんです!!」
と、世界の中心で存在を叫ばないといけない

別に、必ず主題にしてほしいわけじゃない。
・同性カップルが背景の雑踏の中にいるとか、
・主人公にLGBT+の同僚や友人がいるとか、
そういうのを「自然に」描くだけでもいい。
「現実に存在する」ことって、
当たり前でさりげないもののはずだ。
それだけのことが、これほど遠い

一体いつになったら、
同性愛者も異性愛者と同じく人間なんだと、
現実としてこの社会に存在しているんだと、
この世界に「受け入れて」もらえるのか?

いつまで、真っ暗な宇宙空間に放り出された宇宙飛行士みたいに、この地球を外から眺め続けなければならないのだろう。

大阪地裁の記事とそこに付いた大量の誹謗中傷やデマコメントを見ながら、そんなことを考えた。

コメント / COMMENT

  1. ばんばん より:

    時代が変われば価値観は変わりますから、子どもには、さまざまなマイノリティを教えているつもりです。LGBTや障害者、人種や絶滅危惧種(ちょっと違うか)など。
    だから、「どうも、自分と違う人がいるらしい」とこは理解してきているものの、「何で違うの?」「どうして差別されるの?」は分からないみたしだし、私も伝えられない。
    メディアで触れるマイノリティは、むしろパワフルなヒーローヒロインなんだもん。

    • Candice / Chihiro より:

      ばんばんさん、コメントありがとうございます!!
      私も小さいころからもっと多様な生き方があると教えてもらっていたら、こんなに遠回りして苦しまなくて済んだなといつも思います。ばんばんさんのお子さんが成人される頃、もっと生きやすい世の中になっているように、微力ながら頑張ります。

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