【ネタバレ有感想】惜しいぞ!『もののけニンジャ珍風伝』

レシピ / RECIPE

✔ 『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』があまりにもエンパワメント映画だったので現在公開中の『もののけニンジャ珍風伝』も観に行きました。

✔ そつなくまとまった秀作ではあるのだが、色々と中途半端で「惜しい」ので、会話形式で語ります。途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。

※天カス学園の感想は以下リンク。本当に名作なので絶対観てください

きゃんきゃん
きゃんきゃん

さて、天カス学園が最高だったのでもののけニンジャの方も観てきたわけですが…

※今回のサムネイル画像は上記公式サイトから引用させていただいています

ちろちろ
ちろちろ

うん。謎メキ学園が「人の努力を笑うな」というメッセージと共にマイノリティへのエンパワメントに焦点を当てていたのに対して、今回のもののけニンジャのテーマは、ミソジニー(女性嫌悪)やステレオタイプ的な性別役割分業にどう立ち向かっていくかということなのかなと。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

そうね、男は青や緑、女はピンクや黄色と着物の色が分かれている忍者の里で、しんちゃんがピンクの服を着るシーンとか、明らかにその点意識して作られてるよね。しかも、「女の子になりたい気分なのぉ」みたいな理由じゃなくて、ただ着たいから着るというのがよかった。

ちろちろ
ちろちろ

忍者の里のくのいち、風子ちゃんが「私はくのいちだから里長にはなれない」と言っていたり、里長が「くのいちの分際で口を出すな」と言っていたり、忍者の里はものすごく性別役割分業な世界として描かれているもんね。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

その対比として、みさえが自分の頭で考えて主体的に行動できる女性として描かれてるね。以前のクレしん映画と比較しても、今回はかなりみさえにフォーカスがあたってたように思う。

ちろちろ
ちろちろ

『ロボとーちゃん』とかだと、みさえはかなり受動的な描かれ方してたからね。ただ…なんというか…「惜しい」んだよなあ…

きゃんきゃん
きゃんきゃん

中途半端なんだよね…色々と…

以降、ネタバレありです。
映画をご覧になった方のみ、スクロールして続きをご覧ください。また、かなり辛口なので、この映画が大好き!批判はNG!という方はブラウザバックでお願いします。

ちろちろ
ちろちろ

この映画の最大の問題点は、「女性差別/女性嫌悪をどう乗り越えるか」というテーマに対して、「差別的な男性(里長)を女性(里長の部下)が殴りつける」という形でしか解決策が示されないこと。いやそんなんで解決できるわけないやん。3~5歳ぐらいの子どもまで「くのいちにしとくの勿体ないな」的な女性蔑視の言動をしちゃう世界なんやで?

きゃんきゃん
きゃんきゃん

本来は忍者の里の女の子、風子が解決策を提示する(性別役割分業を乗り越える)ポジションのはずなんだけど、最後まで「男性(しんのすけ)をサポートする」役割しか果たさないんだよね。キャラとして死んじゃってる。

ちろちろ
ちろちろ

風子がいなくても普通に物語が成り立つからね。私は、『雲黒斎の野望』みたいに、ちんのすけが「男性のふりをした女性だった」っていう設定の方がよかったんじゃないかと。「女だからモノノケの術が使えないんだ」とか「リスなんていかにも女の子だねえ」とか言われて、苦しんでたんだけど、「モノノケの術は誰でも使えるものなんだ、性別なんて関係ないんだ」ってなって救われる…みたいな流れにしたら、もっと綺麗にテーマを拾えたんじゃないかなあ。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

全体的に「子どもを産む性としての女性」を強調し過ぎなのも違和感がすごい(妊婦の描き方もしんのすけに「太りすぎ」みたいな体型disさせたり凄まじいコレジャナイ感…。)。「母は強い」「子どもは家族の宝」「産んだらハッピー」みたいな…子どもを産まない女性は置き去りかよという。

ちろちろ
ちろちろ

最後のシーンでも男忍者は緑、女忍者はピンクの服着てるし、中途半端に性別役割分業問題に首を突っ込んで、中途半端に着地したという印象だよね。結局この映画が何を伝えたかったのか、私はいまいちわからなかった。「赤ちゃんカワイイ」なのか?

きゃんきゃん
きゃんきゃん

赤ちゃん取り違え問題で出してきた「血が繋がっていない人間同士は家族になれるのか」というテーマも、ゴリラやナマケモノになったちんのすけの祖父や父の存在で出してきた「異種族でも家族になれるのか」というテーマも、「絆があればOK」みたいな感じで雑に処理されちゃったしね…いろんなトピックに手を出し過ぎていろんなことがおきざりだよね。

ちろちろ
ちろちろ

話の畳み方が雑なんで、最後乳母車を父親陣が押してるのも、風子ちゃんが仲間に加わってるのも、「そうすか…」ぐらいにしか思えなくなっちゃってるのよね。そこまでに説得的なストーリーの流れがあればいいシーンだなーってなるのに。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

悪役の描き方も浅すぎる。天カス学園の悪役は色々と鬱積した感情があってああなったっていう説得力があったし、きちんと改心した様子も描かれた。今回の悪役である里長は胸糞悪すぎる性格なわりに、何発か殴られただけで終わり。あいつ改心してねーだろ

ちろちろ
ちろちろ

「これだから女は(泣)短絡的すぎ(泣)」ぐらいにしか思ってないよね絶対。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

う~~~~~ん。惜しいなあ…。

ちろちろ
ちろちろ

正直、モノノケを観るメリットは、天カス学園がいかに名作だったか再認識できるということに尽きると思う。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

天カス学園、ネトフリにあがってるから、観なおすか。

ちろちろ
ちろちろ

結論:天カス学園は最高

(終)

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