「共生社会」をテーマに講演した話

レシピ / RECIPE

✔ 「共生社会」をテーマに、ZOOM勉強会で講演してまいりました

✔ 前回記事で取り上げた、マイノリティとマジョリティの「気付き」のステップの違い、そして、対話する重要性を改めて噛み締めた数時間となりました。

知人の紹介で、「共生社会」をテーマとした勉強会でZOOM講演する機会があった。

講演内容の概要・使用スライドは以下の通り。

〇マジョリティ/マイノリティとは何か

〇自分のマジョリティ性・マイノリティ性に気づくために何ができるか

〇「共生社会」を作っていくために、どう行動すべきか

スライド抜粋①
スライド抜粋②
スライド抜粋③

話すことで整理できる部分も大きく、自分にとっても大きな学びとなったが、その後のディスカッションで印象的なやりとりがあったので、特定を防ぐためにフェイクを入れつつ共有する。

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講演が終わった後、ひとりの男性が言った。

あなたは、女性はマイノリティだとおっしゃるが、女性はマイノリティなどではない。私の周りの女性は男性と遜色なく働く人ばかりだし、これまでの人生、女性としての立場を利用する女性をたくさん見てきた。女性は決してマイノリティではない

カッと頬が熱くなるのを感じた。と同時に、怒りに身を任せるのは簡単だが、それでは絶対にわかりあえないだろうとも思った。

深呼吸してから、口を開いた。

あなたは、電車に乗るとき、催涙スプレーを持っていきますか?

え?いや、持っていかないけども。

私は、持って乗ります。それは、以前「幸せそうな女性を殺したかった」と、電車の中で乗客に切りつけた男性がいたからです。あなたと私が電車に乗っていて、刃物を持った暴漢がそこに現れたら、先に刺されるのは私の方でしょう。私は、いつも、「殺されるかもしれない」と思いながら、電車に乗っているんです。

確かに、誰がマイノリティで、誰がマジョリティなのかは、環境や状況によって変わります。女性がマジョリティになることもあります。しかし、女性がマイノリティになる状況も必ずあります。そんなとき、「女性はマイノリティではない」とその苦しみを否定されることほど辛いことはありません

もちろん、男性がマイノリティになることもあります。私の祖父は、認知症になり始めた時、それが認められなかった。「自立した強い男」であり続けようとして、自分の苦しみや葛藤を打ち明けてくれなかった。最期まで祖父と分かり合えなかったことを、後悔しています。

私がこの講演で伝えたいのは、誰もが辛さや苦しみを抱えていて、それをもっとお互いに、否定せずに、理解し合えたら、きっと生きやすい社会が実現できるということなんです。

男性は数秒の逡巡の跡、沈黙を破った。

実を言うと、私もつらかったんだ。跡取り息子として、周囲からの期待と責任を、一身に背負って生きてきた。弱音を吐くことは許されなかった。

誰もが葛藤や苦しさを抱えていることを、認めて生きていきたい

短いやりとりで、どこまで思いを伝えきれたかはわからない。それでも、私が一番伝えたかったことは、届いたように感じた。傷つくことが沢山あっても、これからも、こうした対話をひとつひとつ積み上げられたなら、きっと少しずつでも、世の中をよくしていけるんじゃないだろうか。

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