女装はなぜ「笑える」のか

レシピ / RECIPE

(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))

✔ 女装は男性の肉体が持つ脅威性を取り去る、「笑っていい」という合図として、映画・ドラマ・TV番組・漫画等で描かれてきた

✔ しかし、女装を「男性の肉体が持つ脅威性を隠す」行為として笑いに変えることは、トランスジェンダーの人への差別を加速する

✔ 「その人の見た目ではなく、その人の才能に基づく笑い」こそ、現代を生きる我々にふさわしい笑い

屈強な男性が、潜入捜査のために女装する。ドレス姿の男性を見て、笑い転げる同僚たち…。誰でも何度か見たシーンだと思う。映画でもドラマでもお笑い番組でも漫画でも、「女装」は、「笑えるもの」として描かれてきた(私も小さいころ、「笑う犬」のウッチャンの女装に笑い転げていた)。

一方で、同様のシーンが男装だったらどうだろうか妖艶な女性が、潜入捜査のために男装する。タキシード姿の女性を見て…「感嘆のため息をつく」同僚たち、にならないだろうか。この違いはどこにあるのだろうか?

前回の記事で紹介した「Disclosure」にて、「なるほど」と思える回答が提示されていたので、ここで取り上げたい。それはズバリ、『女装という行為が男性の肉体が持つ脅威性を取り去り、「笑っていい」という合図になる』ということだ。男性を笑ったら、その筋肉で殴られるかもしれない。その性器でレイプされるかもしれない。「弱い女の体」を「装う」ことで、その恐怖感を安心感に変える。棘や骨だらけの魚が、調理によって、柔らかく喉元を通り過ぎるように。

だが、女装を「男性の肉体が持つ脅威性を隠す」行為として笑いに変えることは、トランスジェンダーの人への差別を加速する。トランスジェンダー関連の話題が出ると、すぐ「女子トイレはどうなるのか?」「女湯はどうなるのか?」という話題が出るのは、女装を笑うことで、『女装=強い男性が弱い女性を「偽る」行為』であると刷り込まれるからだ。これは、「男湯はどうなるのか?」「男子トイレはどうなるのか?」という質問が出ないことからしても明らかである。

いい加減、「女装=笑える」という方程式を捨て去るときだ。SNSやメディアにはそうした方程式が未だに溢れているが、「その人の見た目ではなく、その人の才能に基づく笑い」こそ、現代を生きる我々にふさわしい笑いだと私は思う。

コメント / COMMENT

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