【ネタバレ有感想】コレジャナイ感がすごい『ノック 終末の訪問者』

レシピ / RECIPE

 

✔ ゲイカップル+養子が世界を救う!?映画『ノック 終末の訪問者』を観てきました!シャマラン監督の映画ということですごく期待してたんですが…。

✔ 途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

選挙に行くついでに、映画『ノック 終末の訪問者』観てきました。
『シックスセンス』『ヴィジット』などの傑作ホラーで知られるシャマラン監督の映画ということで、期待してたのですが…。

ちろちろ
ちろちろ

綺麗にまとまってるしやりたいことはわかるけど、コレジャナイ感がすごい

きゃんきゃん
きゃんきゃん

平凡な人間が突如、世界の命運をかけた選択を迫られる!!というシチュエーション作りは見事で、序盤はどう着地するんだろ!?ってわくわくしたんだけどね。

ちろちろ
ちろちろ

主人公たちがゲイカップル+アジア人の養子だから、終始、起こっている事態について「ヘイトクライムなのでは!?」という疑念を持って観ることになるし、緊張感は流石でした。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

焦燥感と絶望感を煽る音楽とカメラ回しもよかった。バスルームのシーンとか、どきどきした。

ちろちろ
ちろちろ

シャマラン監督のファンならご存じの監督自身のカメオ出演も、なるほど!ここで!っていうタイミングであって、楽しかったね。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

全体的に同じ監督の映画『サイン』に似ていて、絶望感の中にちょっとおかしみがあるというか、「加害者」も「被害者」も人間らしさバリバリでどっちにも感情移入できてよかったな。

ちろちろ
ちろちろ

よくできた映画であることは間違いない。ただ、それだけに…。

以降、ネタバレありです。
映画をご覧になった方のみ、スクロールして、続きをご覧ください。

ちろちろ
ちろちろ

結論から言うよ。ラストがあまりにも捻りがなさすぎる。もちろん、シャマラン監督の映画ということで、どんでん返しを期待してしまったこっちにも非があるのは確かだけど、結局全部「カミサマ」の掌の上なんかい!!ってなってしまった。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

やりたいことはわかるんだよ。「同性愛は人類を滅ぼす!!」って言ってる陰謀論者に対して、「いや、パートナーや家族を想う気持ちはみんな一緒でしょ」ってことで、「同性愛が人類を救う」構図を見せたかったんだよね。でも、死んだらダメでしょ

ちろちろ
ちろちろ

「ゲイが死んだおかげで世界が救われた」=「同性愛はやっぱり世界を滅ぼすんだ!」っていう発想になってもおかしくないからね。エブエブの感想記事でも言ったんですけど、マイノリティが「社会規範に従い、”善良”に行動する」ことで「正しい」結論が導かれるみたいなの、もうお腹いっぱいなんですが…。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

黙示録の四騎士とか聖書のフレーズとか、めちゃくちゃキリスト教的価値観が「絶対的な善」として出てきて、本来のメッセージ「思想や宗教を超えた、普遍的な(家族の)愛」と衝突しちゃってる。結果的に、すごいお説教臭い映画になってるんだよね。

ちろちろ
ちろちろ

そう、答えの決まってるトロッコ問題を延々と見せられてる感じ。「世界中の人類の命」VS「3人の命」ですよ?前者の数が大きすぎて、問題として成立してない。同じ監督の映画『ヴィレッジ』みたいな閉鎖的・保守的な村が舞台で、「陰湿な村民20人の命」VS「主人公たち3人の命」ぐらいのスケール感だったら、一体どっちを選ぶんだ!?ってひりついたと思う

きゃんきゃん
きゃんきゃん

カップルの
・「犠牲になる方」が利他的で平和主義で穏やかな人で、

・「犠牲にならない方」が短気で暴力的、かつ、若い女性に「なんも考えてない奴ら」みたいな言っちゃう偏見塗れ人間、
っていうのも「正しさの押し付け」感があって嫌なんだよな~。

ちろちろ
ちろちろ

アジア系の女の子(養子)が空気だったのもきつかったな…。口蓋裂という設定も全く活かされないし。「3人で犠牲になる人を話し合って決める」という条件だったはずなのに、女の子はずーーーーっと蚊帳の外。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

両親のホモフォビアとか、養子を迎える時にヘテロカップルだと偽装するとか、酒場で暴力振るわれるとか、ゲイカップルの受ける差別や偏見が生々しいだけに、「キリスト教的価値観に沿って自己犠牲しました!世界が救われてよかった^^」という結末がすごく…白々しく感じちゃったんだよねえ。

ちろちろ
ちろちろ

全体的に「そりゃそうなりますよな」が初めから終わりまで続く映画で、シャマラン監督作品に我々が期待している、こちらの期待や思い込みを気持ちよく裏切ってくれる感じが全くなかったのが残念。原作はかなり終盤の展開が違うんだけど、これなら原作と同じの方がよかった。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

差別をテーマにするなら、「家族愛と自己犠牲で解決!」みたいな100万回見たラストじゃなくて、観終わった後も自分自身の姿勢を問われるような、はっとさせられる展開にしてほしかったな。ジョーダン・ピール監督の映画『ゲットアウト』みたいに。

ちろちろ
ちろちろ

そういう意味で、やっぱり、「コレジャナイ感」映画なんだよね…。

(終)

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