✔ リアルゴールデンカムイな映画があると聞いて『ブレット・トレイン』を観てきました！
✔ めちゃくちゃワクワクして観たのですが…結論から言うと、「マイノリティになんも期待してないよｗ無駄な努力乙ｗ」という冷笑主義な面が強く、心から乗り切れない映画でした。
✔ 途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。
突然ですが、我々ふうふはどちらもゴールデンカムイの大ファンでして。Twitterで「リアルゴールデンカムイ」と噂になっていた『ブレット・トレイン』を観てまいりました！
確かに…終盤のあるシーンはまんまゴールデンカムイだったんだけど…うん…
観終わった後すごい疲れたよね…
日本の描写が滅茶苦茶なのは、「ハリウッドあるある」でぎりぎり納得できる（納得できない）として、なんか、弱い立場の人の足掻きを上から目線で「無駄ですよ～ｗ」って笑うようなところがあって、主人公（ブラピ）始め登場人物たちにあんまり共感できなかったんだよね…。
殺し屋兄弟のキャラとか、デッドプール的な軽妙なノリとか、サクサク進行するアクションとか、いろいろ楽しい要素はあるんだけど、それらをうまく生かしきれてない感じだったね。
うん、新鮮なマグロを、ブツ切りにしてほらよ！食え！って言われてる感じというか、良い素材を下手に調理したというか、なんか「上滑り感」が否めなかった。
悪い意味で、『NOPE』と真逆の映画という印象。
まず、日本の描写が滅茶苦茶すぎる点は指摘せざるを得ない。
〇やたら治安が悪い
〇東京駅ネオンキラキラすぎ
〇治外法権すぎる新幹線
〇クソアニメもももん
〇なぜか鳥居があるヤクザの家
〇親子で盆栽遊びをする（？）
〇謎の喋るウォシュレット
〇当然のように帯刀&抜刀
〇テンプレ運命論者の日本人
細かい違和感が怒涛のように押し寄せてきて映画に集中できないのよ！2022年にもなってまだ日本のイメージこんなんなの！？流石にアップデートしてくれよ！
メインの舞台となる新幹線も、乗客が「白人のおばあさん」とか「ロシアマフィアの息子」とかやたらと国際色豊かだし、ファーストクラスとかあるし、なぜか寿司が車内メニューにあるし、と、「アメリカの飛行機の中」と言った方がしっくりくるんだよね。
自販機で売ってる水も「FIJI」だしね。そこは「いろはす」だろ！監督、絶対日本きたことないよね？「俺の考えた最高に楽しい日本」だよこれ。
ただ、この映画の本当の問題はそこじゃなくて、「立場の弱い人を小馬鹿にする感じ」が全編続くことだと思うんだよね。ホーネットが毒で苦しんでるとき、ブラピが「因果応報かな？あ、ごめん、これ、マンスプレイニング（男による女性への見下し）だね」って言うあたりとか。
あれは凄く嫌な気持ちになった。女性が徹頭徹尾脇役なんだよ、この映画。男性キャラは色々なバックストーリーがあるのに、女性キャラは全員雑な紹介で、ミニスカ少女も「可愛い」以外なんの要素もないスッカラカンなキャラでイラっとした。仲介役の女性もブラピのケア要員でしかないし。
ミニスカ少女は「男じゃないという理由で親に期待されない状況から一発逆転したい」と思ってるんだけど、とる作戦が「女であることを利用する」なので、言動に整合性がないんだよね。この映画で一番浅いキャラ。
オチも「父親は家族を守る」とかいうホモソーシャル極まりない着地点で、母親の存在どこいった？というね。まあ、それが日本という国なんですと言われれば、その通りなんだけど。
女性だけでなく、セクシャルマイノリティに向ける視線も冷たい。ゲイのキャラに対する執拗な「ゲイってヤることしか考えてないよねｗ」「相手にされるわけないのに馬鹿だね～ｗ」みたいな弄り、ウッとなってしまった…。
しつこすぎたね。異性愛描写が唐突に挟まれるのも嫌だったな。「※異性愛描写が含まれるので苦手な方はご注意ください」ってテロップ付けてほしい（ーー）あれこそ「無理やりねじこまれた」異性愛描写でしょ。
最近、日本でも、有名な歌手の方がヘルプマークをおちょくるようなデザインのグッズを作ったり、「立場の弱い人が懸命に頑張っているのを冷笑する／揶揄する」のが受ける、という風潮ができてしまっている気がしていて。本当にそういうの心えぐられるので、こういう本来脳みそ空っぽで楽しめる娯楽映画でまでそういうスタンスなのはちょっと…真面目にきついなと…
ブラピが完全に「なろう系主人公」だからこうなっちゃったのかな。信念があるわけでもなく、「俺なんかやっちゃいました？」みたいな感じでサクサク人を殺していくよねあの人。斜に構えているというか、何かにまじめに取り組むことは馬鹿らしい、的な感じがあるというか。
映画『NOPE』が、弱い立場の人が団結して大きな存在に立ち向かう映画だったとすれば、ブレット・トレインは強い人が好き勝手動いて、弱い立場の人をいじめる映画という印象。
軽妙な物語回しとか、テンポの良い戦闘シーンとか、攻めたブラックジョークとか、かなり『デッドプール』っぽい作品だと思うんだけど、『デッドプール』は根幹に「大切な人との絆」があったから、映画としての背骨がしっかりしてたんだよね。この映画にはそれがない。ぐにゃぐにゃ。すごく勿体ない映画だったな。
なんか…ゴールデンカムイの実写化がますます怖くなったな…（;;）
（終）
コメント / COMMENT