(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))
✔ 「新婚さんいらっしゃい」にいらっしゃれなかった話。
その日、私はアンケート用紙を手に、放心していた。
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はじまりは、厚労省の先輩が「新婚さんいらっしゃい」に出ていると知ったことだった。「私も彼女と出てみたい」と、番組HPは明らかに異性婚を想定したつくりだったが(下記ツイート参照)、勢いで応募した。
しばらくして―その間、母親に応募した旨を話したところ、「恥ずかしいから絶対に出演なんかするな」と激高されて大げんかしたり色々あったのだが―番組からアンケート用紙が届いた。 わくわくしながら開けたが、すぐに「なんだこれ・・・」という言葉が口をついた。
異性婚前提(入籍日の記入が必要、妊娠や子どもの有無の確認)だったから…ではない。それは応募の時から分かっていた。それは承知の上で、同性でも結婚しているカップルはいるんだぞという気持ちもあって応募したのだ。私がショックを受けたのは、
「ご主人」という呼び方。「ご主人のおこづかい」という言い方。
夫が改姓している場合のみ「ご養子の場合に」と書き添えられていること。
徹頭徹尾な前時代的さだった。異性婚前提とか、そういうレベルですらない。箪笥の奥から引っ張り出した古新聞を読んでいるのではないのだ。2021年に、令和の時代に、贈られてきた応募用紙なのだ。
眩暈がして、地べたにへたり込んだ。ここまですべての時が止まっているような番組に、なんで出たいなんて思ったんだろう?なんのために母親と喧嘩したんだろう?異性婚カップルは、何も思わずに出演しているんだろうか?ただひとつ確信できたのは、この番組を作っている人の目に、私ときゃんきゃんは「新婚さん」とは絶対に、永遠に、映らないだろうということだった。
1971年からやっている番組だから、しょうがないのかもしれない。 TV番組なんかもう誰も見ないんだから、放っておけばいいのかもしれない。 でも、この国の「変わらなさ」をまじまじと見せつけられた気がして、しばらく立ち上がれなかった。
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よっぽど応募用紙を破り捨てようかと思ったが、「変わらなさ」に迎合したくなくて、諦めたくなくて、この記事を書いている。私たちが、「新婚さんいらっしゃい」に出ることはないだろうけれど、この文章が少しでも多くの人に届いて、少しでも何かが「変わる」ことを心から望む。
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