ファーストキスで性的同意をとらなかった話

レシピ / RECIPE

本レシピのポイント(作成者:ちろちろ)

✔ 前回に続いて失敗談になってしまいますが、私のファーストキスは小1の時。

✔ 少女漫画の知識を鵜吞みにして、強引にしてしまった、そんな苦いファーストキスでした。

二度と!!
うちの孫に!!
近寄るな!!

すさまじい剣幕で罵るおじいさんの後ろで、ランドセルのベルトを握りしめ、涙ぐんでいるのは、同級生の男子―ファーストキスの相手だった。

話は数日前にさかのぼる。

当時私は小1で、少女漫画雑誌を買ってもらっていた。その頃の少女漫画は結構「過激」で、無理やりキスしたり、押さえつけて服を脱がせたり、といった描写がよくあった(例えば、「神風怪盗ジャンヌ」などは、そんな描写のオンパレードである。下記記事参照)。

そういう描写は、無理やりキスしても、キスした方が「きちんと相手を愛している」なら、思いが伝わって、キスされた方はその愛を受け入れる、という展開とセットだった。

同級生の男子(以下、「Fくん」とする)のことが少し気になっていた私は、閃いたーキスしてFくんが受け入れてくれたら、この感情が「愛」と証明できるのではないか!?

というわけで、Fくんを誘って一緒に下校し、
二人きりになった時を見計らって向き合い、
ぐいっと相手の両手を上からおさえた。
ぽかんとしているFくんの唇に唇を重ねる。
(私の方が背が高かったので簡単だった)

…。


思った以上に何も感じなかった。
こんなものか、と思いつつ唇を離すと、
Fくんもぼんやりこちらを見ていた。
あー、これは「愛」じゃないのかな?
そんなことを思いつつ、歩き始めた。
Fくんはまだぼんやりしていた。

翌日。
特段何も考えず、またFくんと下校した。
しばらく歩いて、お互いの家が近づいた、
冒頭のシーンが発生したのは、その時だ。
つかつかと向こうからおじいさんが歩いてきて、

こいつか!?

と、私を指さしながらFくんに言った。
Fくんは涙を流しながらうなずき、
ぱーっとおじいさんの後ろに隠れた。

二度と!!
うちの孫に!!
近寄るな!!
この淫売が!

おぞましい

あまりにボリュームが大きくて、何を言っているか今一つわからなかったが、悪口だということはわかった。額に青筋が立っていたし、体が怒りで震えていて、いまにもこちらを殴りつけかねない勢いだったからだ。

とっさに逃げ出し、しばらく走って振り返ると、おじいさんはまだ道の真ん中で仁王立ちになってこちらを睨んでいた。

性的同意という概念とその重要性(下記記事を参照。紅茶の例がわかりやすい)を学んだのは、それからずいぶん時間が経ってからだった。だが、「相手が同意していない状態で行われる性的行為は、ただのレイプ」という言葉は、Fくんの傷ついた顔と、Fくんの祖父の憤怒の表情とともに、今も心に刻まれている。

当時と違い、いまはインターネットを通じて様々な情報に触れることができる。私のような取り返しのつかない失敗をする人、そしてその失敗によって一生消えない傷を負う人がこれ以上増えないように、微力ながらネット世界の片隅で、性に関する知識の発信を続けていきたい。

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