✔ 先週、映画『リトル・マーメイド』を観てきました!映画のキャスティングに関する批判関連で「マジョリティに縋るマイノリティ」という構図を考えた記事はこちらです。
✔ 今回は映画自体の感想記事。途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。
さて、実写版『リトル・マーメイド』を観てきたわけですが…。
まず、ハリエル(ハリー・ベリー演じるアリエル)は完璧だった。歌は勿論、くるくると表情が変わる演技も大変魅力的で、批判する人はこの映画観てないんじゃないかなと思うレベル。特に声を出せなくなったときの演じ方は圧巻。
それは同感。一方で、脇を固めるフランダー(魚)、セバスチャン(カニ)、スカトル(鳥)のビジュアルがリアルすぎたのはちょっと受け入れがたかったなあ。実写版ガーフィールドみたいにもうちょい見た目だけでもコミカルにしてほしかった。表情がなくて怖い。Under the seaとか映像が凄く凝ってて素敵だったから、もうちょいコミカルになるともっと引き込まれたんじゃないかなと思うんだよね。
私もアニメのうつぼさんたちが好きだったから、映画だとただのウツボなのは悲しかったよ…。
アニメとは違うカリブ感あふれる世界観は、カラフルで本当にきれいだったんだけどね。あとアースラのメイクはさすがに酷すぎ!!アースラというキャラは有名なドラァグクイーンがモデルなんだから、現役のドラァグクイーンに演じさせるか、せめてメイクだけでもドラァグクイーンにさせるべきだった。
きゃんきゃんに言われてそうだなと思ったのは、女性人魚だけ胸を隠しているのがリアルじゃないって点だね。貝殻のブラじゃなくてリアルな鱗なんだから、男性人魚の胸も鱗で覆うのが、自然界の生き物としてはしっくりくるっていうのは、その通り。
全体的になんというか…ハリエルの歌と演技の魅力だけで突っ切りましたという映画だよね。アニメ映画の時からそうなんだけど、「なんでアリエルとエリックは恋に落ちたのか」という点が「お互い顔が好みだったから」しか考えられないんだよな~。
まあそれはね…元の映画がそうだからね…。ディズニーも映画『魔法にかけられて』あたりからそういう、一目ぼれです!!以上!!みたいなラブロマンスに批判的になってきてるところあるけど、今回は補正が難しかったんだろうな。
いちおう、今回の映画は、なんでアリエルとエリックがお互いを好きになったかというところがエピソードとして足されてはいるんだよね。序盤でアリエルがエリックの海にかける情熱を目撃したり、エリックがアリエルと馬車で出かけて天真爛漫な人柄に触れたり…。
ただ、結局「なんでお互いが好きなの?」という点については、「顔が好み」としか解釈しようがないんだよね。アリエルは人間だったらなんでもよかったなら、船で難破しかけてたほかの人を好きになってもよかったわけだし。エリックも、歌声が好きという+αはあるんだけど、アリエルがその辺のおばさんみたいな見た目だったら「お帰り下さい」ってなってたやろ。
あとエリックが余りにも覚悟未完了な気がするんだよね。アリエルが人魚だってわかって、あっさり諦めるやん。いや、アリエルが人魚から人間になれたんだから、エリックだって人間から人魚になれるやろ!海がめっちゃ好きっていう設定なんだから、それぐらいの覚悟してもいいんでないの!?なんでボーっと海眺めてるだけなんだよ!
アリエルが主体的にアースラを討ち果たすところとか、最後人間と人魚の共存をにおわせるところとか、アニメ版をアップデートしようっていう意気込みは感じるんだけど、なんかこう色々と中途半端なんだよな…。セバスチャンがシェフに追いかけまわされる後味悪いシーンを全カットしてくれたのは英断だったと思うんだけどね。
さっききゃんきゃんが言ってた、アースラにドラァグクイーンを起用しなかったとことか、まさにそうだよね。
アニメと違ってあんなにカリブ感ある世界観なのに、なぜか原作ではバリバリジャマイカンアクセントだったセバスチャンの声優にジャマイカ人を起用しなかった(結果、エセ関西弁ならぬエセジャマイカンアクセントになってしまった)のも気になったしな…。
※スカトルの声優がAwkwafinaだったのはすごくよかった。ハスキーなボイスと豪快な演技がぴったりだった。
総括すると、「全体的にまあよかったんじゃないですか」という感じ。好きなシーンをあげろ、と言われたら反応に困る感じの映画なんだよね。
裸の女の子としてアリエルが海で発見されたとき、ちょっと嫌だな…性的な描写や言動ないといいな…って思いながら見てたら、船のおじさんもお城の使用人の人たちも滅茶苦茶優しかったのは、こんな世界だったらいいなと思えたけどね。
海の上の現実もしょっぱいですからなあ…
あとね、最後に言いたいのは、私が小さいころ、ブラックのプリンセスっていなくてね。ハロウィンにディズニープリンセスの仮装がしたくても、自分の肌が黒いからできないと思ってた。いつも肌の色関係ない、動物とか魔女とかの仮装を選んでたの。だから今回の映画で、ハロウィンにアリエルになれる子がたくさん増えたことは、一番の意義だと思う。
今回の論争で、まだまだ日本の黒人差別は根強いってことがよくわかったしね。現実を変えていかなきゃいけないんだって、教えてくれる映画ではあった。
(終)
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