ゆざきさかおみさん著『作りたい女と食べたい女』(以下「つくたべ」)が、ドラマ化した。
つくたべは、野本さんと春日さんという大人の女性同士の、等身大の恋愛を描いた作品だ。女性同士の恋愛やレズビアンのキャラクターをここまで真摯に描写してくれる作品は稀有であり、本ブログでも何度も取り上げてきた(下記記事参照)。
ドラマ化にあたって、「物語のままで、終わらせない」というスローガンのもと、同性婚実現のためのチャリティプロジェクトまで展開しており、当事者の一人として大変楽しみにしていた(ちなみにチャリティはオムライスセットを迷いなく購入しました。かわいい)。
※引用ばかりになってしまうが、政策統括の方のインタビューも非常に真摯で頷けるものだった。
※もちろん、懸念がなかったわけではない。野本さんを演じる比嘉愛未さんのインタビューにて、女性同士の恋愛関係について「その枠組みじゃなくて…」「美しい関係」といった表現があり、異性同士だったら絶対に言わない表現だな…ともやったりもした。
11/26 #土スタ #比嘉愛未 さんゲスト回から切り抜き動画をどうぞ!
— 土スタ (@nhk_dosta) November 26, 2022
「美しい二人の関係だなと思って演じていました。一番大事なのは自分らしさ…」
NHKプラスでは番組フルで配信中!https://t.co/iZYXgoOAPy#作りたい女と食べたい女 #つくたべ pic.twitter.com/Rr2OktPjOS
そんなこんなで、期待と不安を抱えて、「つくたべ」ドラマを拝見したが…
結論から言うと、肩肘を張らずに視聴できる、バランスの取れた良作であった。男尊女卑などのマイノリティ差別に「うっ…」となりつつも、野本さんと春日さんの交流やおいしそうな料理にほっこりして勇気をもらえる、原作のよさを活かした作品である。
野本さんはもちろん、春日さん役の西野恵未さんがめちゃくちゃはまり役なのもよい。春日さんはがっしりした女性なのだが、ドラマ化するときに「線が細い、誰ですか?みたいなキャスティングになるんじゃないか」と不安に思っていた。が、ご本人の意向でからだづくりを(制作側のケアのもと、専門家のトレーナーについていただいて)行ったそうで、原作再現度999%の春日さんとなっている。
系統としては、『孤独のグルメ』や、性的マイノリティを描いた作品の先駆者である『きのう何食べた?』に近く、ごはんを満喫しているさまをのんびり楽しむ作品になっており、そういう意味では淡々としているが、NHKプラスで歴代史上最高の視聴数を更新したそうで、非常にうれしい。
とかくレズビアンを描いた作品というとおせっせ!!女同士の絡み合いえっち!ハアハア!みたいな「性愛」に全振りした作品ばかりなので、「情愛」にフォーカスした作品がこうして世の中に「受け入れられた」のは、月面着陸ぐらい大きな一歩である。
本編の方も最近大きな盛り上がりを迎えたところなので、このままの勢いで「つくたべ」が映画化まで突き進んで、世の中も同性同士の恋愛を「物語として終わらせない」フェーズに突入できるといいな、なんて、願ってしまう今日この頃だ。
↓で見逃し配信もしているし、途中から見ても単話としてたのしめるつくりになっているので、まだご覧になっていない方はぜひ!!
コメント / COMMENT