(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))
✔ 中学生のときのトラウマや葛藤から、ずっと編み物から遠ざかっていた
✔ でも、私のためにマクラメを編んでくれる彼女に何かしたくて、頑張った。
突然だが、私は大雑把で不器用だ。繊細なアクセサリーはすぐどこかに引っ掛けたりぶつけたりして壊してしまうし、洗濯物を畳むとだいたいヨレヨレになるか、皺だらけになる。
ゆえに、中学生の家庭科は地獄だった。包丁を持って走って怒られ、ミシンを詰まらせて怒られ…中でも特に苦戦したのが「編み物」だ。冬休みの宿題「棒針編みでマフラーを編む」は当時の私にはあまりにも高いハードルで、一瞬で挫折し、親戚に9割9分編んでもらった。休み明けに恐る恐る先生に提出すると、先生はギロリとこちらを睨んで言った。
女の子なのに編み物のひとつもできないで…あんた、オトナになってから後悔するよ!!
手伝ってもらったのがばればれだったのだろうが、傷ついたし、腹が立った。編み物を仕事にするわけでなし、女だというだけでなぜ編み物スキルを求められるのだ。男子校に通う弟は家庭科を一切履修せずに済んでいる、という苛立ちも手伝って、絶対に二度と編み物なんかやるもんか、と誓った。
そして、それから十数年が経過した今年の夏。
私のために沢山マクラメを編んでくれる彼女に、何か編んでプレゼントしたい、という思いがじわじわと募っていた。とはいえ―脳裏に家庭科の先生の鬼の形相が蘇る―私にはとても無理…
…諦めかけた時出会ったのが、「ニッティングルーム」だった。
なんとこの道具、毛糸を決まった方法でかけていくだけで、かんたんに編み物が作れてしまう。
ちくちく無心で編むのは、想像の百倍楽しくて。
ラジャ様と出会って、きゃんきゃんと出会って、ジェンダーの檻の外に出られたこともあるのだろう、やっと、トラウマや葛藤や意地を乗り越えて、
「編み物をする」自分を許せた気がした。
そうなったら、あとは編むだけだ!
そして迎えたクリスマス当日。ターキーにふたりでかじりついたり、虹色のパンケーキを焼いたりと、美食にふけった後、ついにプレゼント交換の時間がやってきた。
スッと手渡した編み物に、「これちろが編んだの!?」とびっくりする彼女。
「職場に着ていくね!」と嬉しそうに笑う姿に、じんわり胸があたたかくなった。ああ、こんな体験を学生の時できたなら、編み物を素直に楽しみながら大人になれていたのに。
―そう、私は、確かにその瞬間、家庭科の先生が予言した通り、後悔した。でも、それは、「もっと早くに彼女に会いたかった」という、幸せな後悔だったので、めでたしめでたしなのである。
メリークリスマス!!
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