クエーカーとクィア―の類似性

レシピ / RECIPE

(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))

✔ LGBT+全体を広く指す言葉のひとつに、「クィアー」がある。

✔ 「変な」「奇妙な」という意味のこの単語を自称として使うことで、LGBT+の人たちは(クエーカー同様)差別に抵抗

✔ ただ、元が差別語ゆえの欠点もあるので注意が必要

LGBT+全体の呼称について、「セクシャルマイノリティ(セクマイ、性的少数者)」という言葉があるが、あまり好きではない。性の多様性を踏まえると、「多数/少数」で分けられる話ではないと思う。

私のお気に入りは、「クィア―(Queer)」だ。直訳すると「奇妙な/変な人たち」で、もともと同性愛者への侮辱に使われていた(「オカマ」「ホモ」みたいな感じ)が、現在は、多様な「性のあり方」を実践する人々を肯定的に包含する概念として使われている。

なんでわざわざ侮蔑用語を?意味わからん、と思われるかもしれないが、歴史的に、「差別を受ける人たちが、差別用語を自称とすることで反抗する」というやり方は珍しくない。一例が、キリスト教の一派「クエーカー」、直訳すると「震える人」、だ。

謎の呼び名の裏には、この宗派が創設時に直面した激しい迫害がある。創始者のフォックスも捕まって裁判にかけられ、判事に「神の言葉を聞いて震えろ!」と食って掛かったところ、判事は彼を「クエーカー(ぶるぶる野郎)」と嘲った。これに反抗し、彼らはあえて「クエーカー」と自称したのである。「クィア―」も同じ構図で、「変な奴ら」という嘲りに、「変わってますけど何か?」と言い返してみせた

鮮やかな反撃手段である。相手にマウントしたいから蔑称を使うわけで、「そうですけど何か?」と言うことで、「お前の侮辱、全然響いてないから」とマウント返ししてみせる。漫画もそうだが、「窮鼠猫を噛む」的な、起死回生の一撃って格好いいのだ。

ただ、この手段の問題は、「その侮辱語で傷ついた人をなおざりにしかねない」ことである。クエーカーと呼ばれて、ムッとする人もいる。クィア―とはやし立てられて、悲しい思いをする人もいる。そういう人の痛みを、無視しかねない。

結局、万能の定義などないのだ。「LGBT+」にせよ「セクマイ」にせよ、何かをくくろうとすると、必ず切り捨てられる部分が出る。その点を意識できる、勇気ある「クィア―」でありたい。

コメント / COMMENT

  1. […] (クエーカーとクィア―の類似性/The Similarity between Quaker and Queer)LGBT+コミュニティは、「変な/奇妙な」という意味の「クィア―」を、なぜ自称として選んだか?Can you tell the similarity […]

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