✔ 映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観てきました!ネットの前評判も高く、期待していたのですが…めまいがするほど疲れきって映画館を去ることに。。。
✔ 途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観てきました。…。
…。
…解散で。
待って待って、ごめん…ちょっと余りにも疲れすぎて…意識を失いかけていた。前評判が高くて正直ちょっと期待していたので、ここまで深刻なボディーブローをもらうと思わなかった。
私も観ている間ずっと、ちろちろ大丈夫かな?と思ってたよ。主人公エヴリンの「理解ある母親として立ち回ろうとしているけど、実は娘の性的指向をよく思っていない」言動、まんまちろの母親だもんね。
うん…マイノリティの人で、親族との関係がうまくいっていない人には、かなりキツい映画だと思う。
反対に、子どもとギクシャクしてる親や、自分の人生、うまくいってないのでは?と感じるヘテロセクシャル(異性愛)の人たちにとっては、肯定してもらえて凄く嬉しいだろうね。それが激賞されている最大の理由なんじゃないかな。
映像は凄くきれいだし、おお!!ってなるシーンもあったんだけどな…。
ちょくちょく挟まれる下ネタは正直全く面白くなかったけど、石のシーンとか、凄く良かったよね。アジアへのステレオタイプは感じるものの、途中までは、どこに着地するんだろうってわくわくしながら観れてた…。まさか、終盤ああいう展開になるとは…。
あと、犬が酷い目に遭うシーンがあるので、ご注意ください。そんなに犬好きじゃない私でもめちゃくちゃ嫌な気持ちになりました。
あのシーンはマジでいらんかった。
実際にエヴリンのような母親を持った身として言わせてもらうけど、この映画の最大の問題は、母娘の関係に対する決着の付け方だと思う。あのですね、わかってるんです。生んでもらった恩は勿論感じてるんです。でも、母親と一緒にいると辛いの。ジョイも言ってたけど、疲れるの。
・「最近太ったんじゃない?」
・「おばあちゃんには女の子と付き合ってること言わないでね」
・「親族の集まりには呼ばないで」
そういう言動に、いちいち心を削られてく。自分を心配して言ってくれてるんだってわかってる。母親なりに、少しずつ、歩み寄ろうとしてるのもわかってる。それでも、苦しいんだよ。
そうなんだよね…。そもそもジョイが「悪」になっちゃったのも、アルファエヴリンのせいだし、ジョイはエヴリンの言動に苦しめられ、傷つけられ続けてきたんだよな。でも、エヴリンは、結局、数多のマルチバースを潜り抜けても、
「太りすぎ」
「タトゥーを入れるのは反対だ」
といった言葉を娘にかけ続ける。おじいちゃんにほとんどアウティングに近い「娘はレズビアンなんです」宣言までする。その変わらなさは別に構わないんだよ、確かに現実ってそういうものだから。でも、なぜかジョイに一緒にいろ、と言い、ジョイもそれを受け入れてしまう。
血が繋がっているからこそ、互いを大事に思うからこそ、わかりあえないことはある。別世界のエヴリンを手にかけて回るほどジョイは苦しんでいたのに、最後の最後で、「やっぱり家族が大事!一緒に暮らそう!」で終わってしまう。石の世界でもしつこく追いかけてくるし。フィクションの世界ですら結局血の繋がりからは逃げられないんだよって言い聞かされてるみたいで、もう許してくれ…っていう感想しかなかった。ラスト、「お互いに距離をとって暮らそう」という着地点だったなら、最高だったんだけどな…。
あと、夫がなぜか愛と寛容の象徴みたいになるの意味わからなかった。いや、コインランドリーの経営をエヴリンに任せきりでふにゃふにゃ客と談笑してて、離婚を切り出す勇気すらなく離婚証明書をつきつけてエヴリンに決定権を委ねようとする奴がなんで急にもてはやされるの?監督・脚本・編集全部男だからなの?おじいちゃんも最後まで家事とかエヴリンに任せきりだし男の方はなんも変わってないじゃんこの映画。
そこらへんにいる普通のおばさんがボコボコ敵をなぎ倒すところに(のみ)カタルシスを感じられるのに、なぜか最後「暴力良くない!無抵抗の旦那はエライ!」みたいになるの意味わからんよね。いやいやお前も(アルファウェイモンドだけど)ポーチで敵をなぎ倒してたやんけ!!マイノリティは愛と寛容で世界を救わなきゃあかん法律でもあるんか!?そこは最後まで暴力バチボコで突き抜けてくれよ!!せめてジョイにエヴリンを一発殴らせてやってくれ。
勿論、現実では、暴力で解決すべきじゃないよ。でも、フィクションの世界でくらいスッキリさせてくれよ!!RRRはそこをわかってたよ。
最後旦那と別れて、ディアドラさんとくっついてほしかったよ…。ソーセージバースで滅茶苦茶幸せそうにしてたじゃん!タバコ吸うシーンだって楽しそうだったよ!!なんで一回抱きしめただけではい、終わりみたいな感じなの!?クィアベイティング(性的指向の曖昧さをほのめかして注目を集める手法)でしかないよ!!あと旦那とのおせっせのシーンが一瞬挟まれるけどそのシーン絶対いらなかったやろ!
LGBT+周りの描写で言うと、ベッキー(ジョイの恋人)が完全に蚊帳の外だったのも凄い違和感あったんだよな。仮にも恋人なのに、ジョイと一緒に戦ってくれない。自分から「彼女です」とも言ってくれない。一緒に泣いてくれない。一緒に怒ってもくれない。キスはするけど頬ばっか。あの…それって他人じゃないですかね???
最後国税庁に行くときもついてこないしね。結局、ベッキーは「家族」じゃないってことなんでしょう(諦め)。
あと、全般的な話として、マルチバースを行き来するわりにめちゃくちゃアジア的な描写(カンフーとか伝統衣装とか)が多いのもなんか…結局アジア人はどのバースでもアジア人なんだよ!!って言われてるみたいでがっかりだったな。なんか白人の小間使いみたいなことやらされてたりするし。
ストーンバースは凄く良かったから、もっといろんなバースを観たかったよね。そろそろカンフーじゃないアジア描写を観たいよ…。
どうしてここまで激賞されてるのか、わからないんだよな…本当に…
多分、違うバースの『エブエブ』を観たんじゃないかな…。私らが観たのは『エグエグ』だったのかもしれない…と思わないとやってられません…本当に…疲れた…。
(終)
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