✓ 荒井勝喜首相秘書官が、LGBTQについて「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」等の差別発言をした件について、ひとりの人間としても、同じ国家公務員としても、憤りを抑えられないです。
✓ 今回の差別発言の背景を深く知るためにも、そもそも「首相秘書官」とはどういう役職か?誰が就くのか?ということについて、解説したいと思います。
2月4日土曜日、6時半に起床すると、きゃんきゃんが既に起きていた。
…夜中にこの記事見ちゃってさ。ムカつきすぎて一睡もできなかったよ。
見せてもらった記事のタイトルに「首相秘書官、性的少数者や同性婚巡り差別発言」と書かれているのに、最初、政務担当秘書官(not国家公務員)だろう、と思ったのだが、まさかの経産省出身の荒井勝喜秘書官だったので、血の気が引いた。
2月1日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の西村智奈美議員の質問に対し、岸田首相が同性婚の法制化に関して「家族観や価値観、社会が変わってしまうので、極めて慎重に検討すべき」と、改めて否定的な考えを述べたばかりで、十分精神的ダメージを受けていた。そこにこれだ。
記事を読むと、
①首相秘書官が平日に行っているオフレコ取材で、2/1の総理発言について質問があり、
②経産省出身の首相秘書官である荒井氏が上記の発言を行った。
③毎日新聞は、これを人権問題と判断し、実名での報道に踏み切った。
ということであった(毎日新聞の記者は職責を果たしたと思う)。
SNSを見ると、「秘書官=政治家」と誤解している人も多かったが、前述した通り、今回差別発言を行った荒井氏は政治家ではなく、国家公務員である。というのも、秘書官には2種類あり、
というわけで、今回の荒井氏の発言ー「同性婚なんか導入したら、国を捨てる人も出てくる。首相秘書官室全員に聞いても同じことを言っていた」-が本当なら、省庁の中でも特に偉~い存在である外務・財務・経産・防衛・警察の事務次官候補全員がそういう考えなわけで、そりゃ同性婚の法制化が国会の議論の俎上にもあげてもらえないわけですわ、と暗澹とした気分になる。厚労は入ってない、よかったね、などと言っている場合ではない。石川大我議員が「荒井秘書官、首相秘書官室全員の懲戒免職を求める」と発言したのも、そういう理由だ。
そもそも、国家公務員の世界自体―厚労省では、下記記事で触れた通り、少しずつ変わろうとする動きが出ているが―いまだにLGBT+の人々が、安心してカミングアウトできる世界とは言い難い。先日も、Twitter上で知り合った(ゲイであることを職場には秘匿している)国家公務員の方から、「この業界の古い価値観の中では、パートナーと楽しく暮らせる未来は見えない。退職しようと思う」という話があり、大変寂しく悲しい気持ちになった。
2021年の世論調査では、同性婚を認めるとの声は過半数を超えている。
一方で、同じ2021年12月のNHKの「岸田官邸の心臓部 8人の総理秘書官に迫る!」という記事。そこに記載された荒井秘書官の説明文(下記引用)ほど、空しく響く「普通の感覚」はない。
この問題は、荒井秘書官ひとりを更迭しただけでは終わらない。国民の声に耳を傾け、政策を立案する組織であるはずの霞が関、そして、そのトップに立つ予定の人々が、古い価値観に縛られ、社会の変化を受け入れられないでいるのでは、日本の未来は昏いと言わざるを得ない。
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