✔ 大ヒット中のインド映画『RRR』を観てきました!「差別は絶対許さんぞ!」という心意気が感じられる、筋肉が輝くリアルゴールデンカムイ映画でした。
✔ 途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。
我々ふうふはどちらもゴールデンカムイの大ファンです。以前、Twitterで「リアルゴールデンカムイ」と噂になっていた『ブレット・トレイン』を観たのですが…結果は下記記事の通り、「ガワはゴールデンカムイに似てるけど、心意気は全く似てない」映画でございました。
それに対して、「ガワは全く別物なんだけど、心意気がゴールデンカムイに似ている映画」が…今回ご紹介する映画『RRR』です!!1920年代、英国支配下におかれたインドにて、2人の男性の運命が交差して大きなうねりになっていく…という映画。
いわゆる「インド映画」を観るの初めてで、3時間もあるって聞いて最初は「長」って思ったんだけど、テンポがよくてサックリ観れてよかった!あっという間だった。
ムキムキの男性が殴り合うめちゃくちゃホモソーシャル(女性・男性同性愛者を排除することで成り立つ男性間の緊密な関係性)映画なのかなと思ってちょっと斜に構えていたんだけど、「差別を許さない」というテーマが前面に出た、心意気がゴールデンカムイな映画だった。
ラーマが鯉登でビームが杉元だよね、わかる。…まあ、「これは同性愛じゃないですよ!男の友情ですよ!安心してください!」みたいな異性愛描写は繰り返しあったけどね。女性を「守られるべき存在」として描く箇所がちょこちょこあったし。そこはちょっと残念だった…。
この映画は差別をナショナリズムと暴力で解決するんで、どうしてもそういう面はあるね。一方でイギリス人がボカスカにやられる描写にカタルシスを覚えちゃうのも確かなんだよな~!!ガンジーさんへの道は遠い…
ただ、途中のダンスシーンで、女性が主体的に行動する(男性に物申す、積極的に踊る)描写が入っていて、そこはすごくよかったな。インド映画って女性がくねくね踊るダンスシーンが必ず入るってイメージだったんだけど、この映画はそうじゃなかったね。
昔のインド映画では女性の官能的なダンスシーンを入れるのが恒例だったんだよね。いわゆる「アイテムガール」(下記記事参照。代表的な例は、下記にYouTubeのリンクを張ってます)だね。私はけっこうインド映画観ているんだけど、最近のインド映画は、男女の描き方については、だいぶ変わってきていると思うよ。
というわけで、私のように「マッチョな男がぶつかり合うトキシックマスキュリニティ(有害な男らしさ)丸出し映画なんじゃないか…」と不安に思っている方、そうでもないので、是非ご覧になっていただければと思います。
動物さんが死ぬ描写がないのもよかったな。
「差別を許さない」という大テーマに関連して、悪役がきちんと悪役してたのは凄くよかった。「実はいい人で…家族に優しくて…」みたいな、余計な上げ描写がない。
メイン悪役の奥さんもすんごい悪い人だったしね。ああいう場合、奥さんは滅茶苦茶いい人で何も知らなかったとかいう設定も多いから、一片の同情要素もないのはありがたかった。最後やりすぎなくらいボッコボコにやってくれるのスカッとした。
史実では、1920年代のインドは英国に一方的にやられっぱなしだったという史実を踏まえると、弱い立場の人たちが強い立場の人たちを知恵と勇気で打ち破る、という展開に余計励まされるよね(実際、下記ブログに詳しいのですが、ラーマとビームは実在の独立運動活動家がモデルになってます。エンドクレジットで出てくる人たちも実在の活動家)。
うん、現実がそう上手くいかないのなんて骨身にしみて理解しているからこそ、映画という虚構の世界ではそこをひっくり返してほしいんだよね。『プロミシング・ヤング・ウーマン』みたいに、「女はしょせん男にかなわないんでね」みたいな展開になるのが一番いやだ。
英国人に「褐色人種にダンスなんかわからんやろ」って言われた二人がダンスで見返すシーン(下記動画参照)とか、実際には絶対そんなハッピーな展開にはならないってわかってるけど、だからこそ、観ていてすごく楽しいし、勇気をもらえるもんね。
そうそう、このダンスシーンは私も凄く好き。冒頭で言った通り、女の人たちが主体的に動いて不寛容な男性を追い払う、っていう展開になってるし。
しかし…やっぱり…ラーマとビームが付き合うべきだったよね…
うん…どっちかが女性だったら、絶対結婚エンドだったよ(;;)
ラーマとシータはともかく、ビームとジェニーの恋愛描写は正直、唐突な印象あるからな。ジェニーがなぜあそこまでビームに入れ込むかっていうのが、「顔が好みだったから」しかない。最後もビームが英語を習うっていう展開より、ジェニーがテルグ語を学ぶっていう展開の方が、ナショナリズム映画としてもよかったと思うんだよね。
まあ、でも、ビームとジェニーがくっつくっていう描写は明確にはなかったからね。あれからどうなったかは、観客の想像に任されてる。個人的には、よき友人になったのではないかと。そしてシータは、ラーマをビームに譲った(断言)
譲るの!?(笑)まあたしかに、シータは率先して人助けできる人だもんね。そのあたりも想像に任されているということかな。
色々言ったけど、全体として、明るい気持ちになれる映画であることは間違いないね!スケールがとても大きい映画なので、ぜひ映画館の大画面で観ることをおすすめします!!
(終)
コメント / COMMENT