【トラウマ話】電車に乗る前、念入りに髪を乾かす理由。

レシピ / RECIPE

(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))

✔ 高校生の頃、濡れた髪で電車に乗って、一生の心の傷を負いました。

✔ 彼らは忘れても、私は一生忘れない。忘れられない。

高校生のある朝、寝坊して、超特急でシャワーを浴びてから満員電車に飛び乗った。 

全力疾走の息切れが収まった頃、2人の男子学生の間に挟まっていることに気づいた。

 背の高い彼らのささやき声が、頭上を飛び越す。

「・・・ウザいよな」
「・・・殺してやりたいわ」
「ホントむかつく・・・」
「・・・殴ってやろうか・・・」

 漏れ聞こえる単語は、随分と剣呑だ。教師の悪口か何かだろうか、そう思った瞬間、

「・・・この女・・・濡れた髪…」
「・・・きちんと乾かせ ・・・ ブス ・・・
「マジ死ね・・・」
「・・・顔の原型わからないぐらい・・・やる」

心臓に氷を当てられたようだった。
私の話をしている。 

今すぐ走り出したかったが、朝の通勤ラッシュのただ中では逃げ場もない。 

10分ぐらい(1時間程度に感じた)立ち尽くしたまま、彼らの悪口を浴び続けた。 

次の駅で、転ぶように降りた。 

去って行く電車を見ながら、髪を触る。まだ乾ききっておらず、しっとりしていた。 

自然に涙がこぼれて、体が震えた。 

なんで、あそこまで言われなきゃいけないのか。
なんで、体がすくんで動けなかったのか。
なんで。
くそくそくそ。全部くそ。 
そう思いながら、泣いた。 

 あれから十何年たった今も、髪を念入りに乾かしてから電車に乗る。

あの2人にとっては、単なるいたずらで、暇つぶしだったのかもしれない。
でも、私にとっては、一生消えない心の傷だ。

あなたにとって何でもないお遊びでも、された方にとっては、永遠の焼き印になりうる。
今回のオリンピック開会式の混乱を通じて、その事実が世の中に知れ渡りますように。

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