【ネタバレ有感想】根比べクィア映画「教皇選挙」

レシピ / RECIPE

✓ 映画「教皇選挙」観てきました!

✓ コンクラーヴェ(教皇を選出するプロセス)を描いた高評価密室劇ということぐらいしか知らずに観たのですが、めちゃめちゃよかったしすごくしっかりしたクィア映画(性的マイノリティを扱った映画)でした

きゃんきゃん
きゃんきゃん

映画「教皇選挙」を観てきました。コンクラーヴェが題材ということで、おじさんたちが密室でやいのやいの議論する政治劇だと思ってたのですが、まさかこんなにしっかりしたクィア映画だと思わなかった。嬉しい驚き!

ちろちろ
ちろちろ

照明も色彩も音楽も衣装も考え抜かれているし、ストーリーも非常に上質な政治劇・密室劇なんだけど、最近揶揄されたり、軽く扱われたりすることの多い「多様性」という言葉の意味とその重要性を、まっすぐに訴えかけてくる映画だったね。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

舞台となるローマ教皇庁が、保守的な男の園感ムンムン、ホモソーシャル増し増しで「女は引っ込んでろや!」「結局法王は白人であるべきなんだよ!」「同性愛なんか当然ゆるされませーん!!」って雰囲気があるからこそ、そして、物語後半である事件が起こるからこそ、多様性を許すこと、つまり、「他者に寛容であること」がいかに大事かということが胸にしみるんだよね。

ちろちろ
ちろちろ

一つ間違うとお説教みたいになっちゃうテーマなのに、全く説明くさくなくて、いま世の中で起こっていることと重ねて、そうだよなあって納得できるのがすごい。これは、主人公が本当に中間管理職です!って感じで、周りでめちゃくちゃトラブルが起こるのにショボーン(´・ω・`)ってなりながら一生懸命立ち向かっていくから、自然と主人公目線で物語を追えるのが大きいのかも。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

登場人物がみんなキャラが立ってて、物語をストレスなく楽しめるよね。「悪役」ポジションのキャラクターも、その人なりの正義があるってわかるし、愛嬌があるおじさんだから(それが逆に怖いわけだけど)、次はどうなるんだ、次はどうなるんだって思いながら画面を追ってた。伏線がはりめぐらされてるのもアツい!

ちろちろ
ちろちろ

おじさんたちのくたびれ具合がリアルなのは勿論、シスターの皆さんもいわゆる「若くてかわいい女の子」じゃなくて、きちんと生きている人間なんだっていう重みがあるのが、とてもよいよね。最初に亡くなってしまう教皇も、話が進むにつれてめちゃくちゃ有能で思慮深い人だったんだなって評価爆上げになっていくし、とにかくすべての登場人物がスルメ並みに味わい深い。文句なしの傑作です

きゃんきゃん
きゃんきゃん

最後の最後でどんでん返しがあるんだけど、取ってつけた感じじゃなくて、むしろそこまでの話の展開と非常に合致しているから、「そうだよな」って素直に思えるのは感動した。視聴した後さわやかな気持ちになれる。

以降、ネタバレありです。
映画をご覧になった方のみ、スクロールして、続きをご覧ください。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

この映画のキャラは魅力的だけど、やっぱりベニテスさんがかっこよすぎる。シスターのことを気遣っていたり、性暴力にあった女性のために病院を建てたり、この人だけがコンクラーヴェで透明化されていた「女性」の存在を常に意識しているんだよ。だからずっと応援していたし、最後のどんでん返しも、なるほどと思えた。

序盤に、主人公が多様性の大切さを説いて、ベニテスさんが「すごくよかった」って言うのも、そういう事情があったからなんだなって。よく練られた脚本だよね。

ちろちろ
ちろちろ

前教皇は主人公&ベニテスさんに未来を託してたんだなってわかるの、アツいよね。主人公が「ヨハネ」(←イエスの愛弟子だから、前教皇に愛されてたよって気持ちがあるんだと思う)って、まあ無難な教皇ネームを考えてたのに対し、ベニテスさんの考えていた教皇ネームが「インノケンティウス」(歴代最強の教皇)なのかっこよすぎる。ちゃんと野心あったし、それを飼いならしていたんだな。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

ベニテスさんが、自分の”違い”を「神が私に与えてくれたもの」と前向きにとらえているのも、すごくジーンときたな…。芯がしっかりある人なんだよね。だからベニテスさんが満を持して放つ「誰と戦うのか」という演説は心を揺さぶるんだな。

ちろちろ
ちろちろ

そうそう、愛国心に突き動かされて「戦う!」っていうのは簡単だけど、それで沢山命を落としたり苦しんだりする人がいるってこと、ベニテスさんはわかっているんだよね。そこが戦場に行ったことない主人公やデデスコさんとの重みの違いと。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

主人公がよっしゃ教皇なったる!と覚悟を決めたところで、ああいうことになるのはすごく残酷なんだけど、とても美しい流れだったなあ。

ちろちろ
ちろちろ

作中にも出てくるけど、完全無欠の人なんていないんだよね。だからこそ、みんなの違いを尊重しながら、助け合ってやっていかなければならない、と。あのコンクラーヴェを経て、大変だろうけどきっとみんなで支え合ってやっていけるんじゃないかな、って気持ちになれる、さわやかなラストでした。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

あのあとは教皇さんと亀をかわいがりながら職務に勤しんでほしい…。デデスコさんもなんだかんだ主人公をいじりにきてほしいし、ベリーニさんはズッ友でいてほしいし、アディエミさんも少しずつミソジニーな考え方を改めていってほしいなあ…。

ちろちろ
ちろちろ

あ、うん、後日談あるよ。

きゃんきゃん
きゃんきゃん

いやいやそれファンメイドのノベルゲームでしょ!?

ちろちろ
ちろちろ

だってめっちゃよくできてるんだもん!!私はテデスコさんの親密度ゲージをあげるのに忙しいんだよ!!

きゃんきゃん
きゃんきゃん

テデスコのキャラ紹介「ファシスト」ってなってるのウケるな

ちろちろ
ちろちろ

こんな良質なファンメイドゲームができるくらい良質な映画ということだよ!本当になかなかないレベルのいい映画だと思いますし、いわゆる「保守的な」人にも受け入れられやすいメッセージ性なので、ぜひ映画館へGO!していただければ幸いです!

(終)

コメント / COMMENT

タイトルとURLをコピーしました