可視化の道は果てしない(泣)

レシピ / RECIPE

✓ 親しい人たちであればあるほど、可視化のためにカミングアウトを心掛けている

✓ それでも「届かない」ときもあるというお話…

前にも書いたが、私は可視化のためにカミングアウトしており、職場でもプライベートでも、彼女がいることや、同性婚が認められてほしいという思いをなるべく自然に、だが積極的に、伝えるようにしている。どこか遠くの空の下ではなく、身近な場所に当事者がいると知ってもらうことで、この社会に根深くはびこる差別や偏見を少しずつでも取り除けると思うからだ。

そんな折、仲良くしている方々と呑みに行く機会があった

お料理もお酒も美味しいお店で、話も盛り上がり、来てよかった、と思った、そのとき。少し離れた場所で歓談していた方たち(全員男性)の会話が聞こえてきた。

A「俺(男性)、Cさん(男性)のこと本当に好きなんですよねえ」

B「えっ、お前らそういう関係だったのか!?まあ自由恋愛だからな」

C「(私の名前)さんに頑張って同性婚認めさせてもらわないとですねw

えっ・・・。

絶句したのだが、いったん「何も考えない」ことにした。どの道、席が離れているので注意することもできないし、聞かなかったことにするしかない。

反対側を向くと、他のメンバーがキャッキャ盛り上がっていた。聞けば、その中のひとりが結婚するのだという。プロポーズがたいそうロマンチックな言葉だったそうで、順番にプロポーズした/された言葉を言っていく流れになっていた。

「ずっと一緒にいてほしい」とか、「必ず幸せにする」とか、素敵な言葉が飛び出す中で、自分の番になったらどう切り出すかいろいろ考えていたのだが、

私の右隣の人「・・・という感じで自分はプロポーズしましたね」

私「おおーっ!おめでとうございます!ちなみに私はー」

私の正面の人「じゃあ次は○○さん(私の左隣の人)ですね!!

私「(えっ)」

○○さん「いやいや自分は大したエピソードなくてですね・・・うんぬんかんぬん」

普通に飛ばされた。

ショックだったのだが、これについても「何も考えない」ことにした。たまたま私が結婚しているのを知らなかったのかもしれない。いや、結婚指輪してるし、この人(私の正面の人)とは、彼女との新婚旅行の話とか色々したことあるし・・・いや、何も考えるな、この唐揚げおいしいな~。

そんな風に過ごしている間に飲み会は終わり、終電を逃さないよう急いで電車に飛び乗って、ガタゴト揺れる車両で足を踏ん張っ・・・た瞬間。

自分にかけた「何も考えない」魔法の効果が切れて、どわっと怒りとか悲しみとか無力感とかが押し寄せた

―なんで、おふざけの一環でしかない文脈で、「頑張って同性婚認めてもらえ」なんて言われなきゃいけないの?

―どうして、私だけプロポーズの話をさせてもらえなかったの?同性同士だから?

―必死で可視化してるのに、それでもまだ踏まれるの?

彼女にLINEで報告したら(下記画像)慰めてくれたけど、暗澹とした気持ちはやまなくて、しゅん・・・となりながら帰宅した。そのせいか、帰宅したら背負っていたリュックのチャックが半開きになっていて、ポケモンGOプラスプラスとそのカバー(合計8千円程度)を紛失した。踏んだり蹴ったりである。

多分、A・B・Cさんたちも、私の近くに座っていた人たちも、別に悪気はなくて、ただなんとなく、その場のノリとかで、そういうことをしたんだと思う。一晩寝たら忘れてしまってるだろう。

けれど私は、これから先あなた方と話すたび、心の奥に刺さった針が疼くのを感じるだろう

どれだけ必死でアピールすれば、その奥に秘めた気持ちが伝わるんだろう。暗い気持ちになることも多いけど、それでも今日もまた、可視化の種を蒔いている。いつか届くことを信じて。

※追記:今思うと、プロポーズの話で飛ばされたのは私が女だったから(=プロポーズを「される」ことが多い側だから)な気もしてきた。プロポーズの話を披露してた人たちは全員男性だったから。…にしても、ステレオタイプだし嫌な気持ちにはなるんだけれども。

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