(本レシピのポイント(作成者:ちろちろ))
✔ きゃんきゃんと観たクレヨンしんちゃん新作映画があまりにもよかった…
✔ ジェンダー的にも稀有なエンパワメント映画になっていたので、会話形式で語ります。冒頭はネタバレなしですが、途中からネタバレ爆発なので、映画未見の方は、【ここからネタバレ有】と書いてあるところ以前までお読みいただいてからブラウザバックすることを推奨いたします。
いや~、天カス面白かったね!!
「ポケットモンスターココ」観た時の予告編からずっと面白そうだと思ってて、こうして公開初日に観たわけだけど、いやほんと…最高のエンパワメント映画だったね。非の打ち所がない。
まずね、「1週間、エリート養成学校に体験入学する」っていう全体の構成が上手だと思った。しんちゃんたちカスカベ防衛隊が、月曜日、何も知らない状態で「天カス学園」へと赴いて、日にちが進むたびに学園の秘密を知っていく…っていう。観客である私たちも最初は何も知らないわけだから、しんちゃんたちの目線で一緒に、ワクワクしながら学園生活を楽しめた!
うんうん、前半、学園の様子を丁寧に描いてくれるからこそ、クライマックスからの怒涛の盛り上がりにスッと入っていけるんだよね。映画を通して、「努力を笑うな」という力強いメッセージが繰り返されるのも、すごくよかった。最後はうるうるしてしまった。
ネタバレになっちゃうから後で言うけど、マイノリティへの応援メッセージにもなってるんだよね。「持たざる者」だからって、その人たちが一生懸命に生きる様を、笑ったり見下したりしていいっていう理屈はどこにもないよって、熱く叫んでくれる映画になっている。
うん、かつてのクレヨンしんちゃん映画だったら「笑い」として描いていたような、「同性に惹かれる」シーンとか、「変顔」シーンとか、「男の人がお化粧する」シーンとかを、あるときはてらいなく自然に、あるときは「笑うな」という力強いメッセージとともに、描いてくれたのは、クレヨンしんちゃんシリーズの進化を感じずにはいられなかったよ。
それでいて全然お涙頂戴感はなくて、上映時間中ずーっと笑いっぱなしだったからね。風間君としんちゃんの友情の描き方も、学園での青春の描き方も、情に流れ過ぎず理に流れ過ぎずの絶妙な塩梅だったし。本当に、このブログを読んでらっしゃる方はぜひ今すぐ映画館に赴いていただきたいです!!私はオトナ帝国が大好きなんだけど、それに匹敵する…いや勝るかもしれないメッチャいい映画でした!
冒頭に「この映画は傑作だ」って確信したシーンがあったの。
ネネちゃんが、天カス学園に向かう途中、不安と緊張で小さくなっているマサオくんに、「シャキッとしなさいよ!」って一喝した後、こう続ける。
「…青春が待ってるんだから!」
もうここで、最高だって思った。
わかる、「普通」の映画なら、「…男の子なんだから!」とか言っちゃうシーンだからね。
あのシーン含め、ジェンダー的視点からみて最高なシーンがいっぱいある。
〇ひろし(夫)が家にいる時、ひまわり(赤ちゃん)を抱っこしている
〇ナンパが「マイナス」の行為として描かれる
〇美人の先生がお約束の「色気で欺く系悪役」じゃない
〇一方通行の恋愛をしている男を、思いを寄せられた女がキッパリ拒絶する
〇番長が「女子ども」じゃなく「自分より弱い相手」という言い回しをする
〇ギャルの「オシャレを楽しんで何が悪い」というマインドがかっこいい…etc, etc
マサオくんが男性である番長にときめくとか、お化粧をしている男性がいるとか、そういうシーンが「ふつうに、てらいなく」描かれるというのも大きなポイントだよね。昔のしんちゃんの映画では、「オカマ」いじりや、「ホモ」という言葉遣いは普通にあったということを考えると、本当にクレヨンしんちゃんシリーズの進化を感じて胸が熱くなる。
でもね~なんといっても、ちしおちゃんにしんちゃんがかけた
「変な顔じゃないゾ!頑張ってる顔だゾ!」
っていう言葉がね…本当によかった…
あれは間違いなくあの映画の中で一番いいセリフだよ。「変な顔でもいいじゃん!」じゃなくて、「変な顔じゃない!」って言いきってくれて。あの一言があったから、ちしおちゃんは、自分の走る顔をロボットに見せつけられた時、抱きしめられた(=自分の中のコンプレックスを受け止め、乗り越えることができた)んだと思う。
やらかして落ち込んでるメガネにネネちゃんが「青春はやらかすもんだ」と声をかけてあげたり、先生が「人間は間違うものだ」と言ったり、失敗しようが、「美しくな」かろうが、人間が一生懸命生きる姿はかっこいいんだ、というメッセージが嬉しい。
最初はしんちゃんたちの努力を冷笑してた生徒たちが、最後は応援するようになったのも、懸命に走る姿に勇気をもらったからだもんね。オトナ帝国でも必死に走るシーンがでてくるんだけど、オトナ帝国のそれは「家族の絆」という狭い範囲のものだったのに対して、今回は「誰もが(焼きそばパンのような)小さな幸せを積み重ねていける社会」のために走るという、より広範な目的のための行為なのも進化を感じた。
そうね、ひろしやみさえは、今回の映画では、「しんちゃんに沢山の愛情を注いで、その努力を応援する」というスタンスだしね。親の描き方も、「こっそりお菓子を渡してあげる」みさえと、「ルールをきちんと守ってお菓子を渡さない」風間君のお母さんがどちらも肯定的に描かれてたり、バランスがとれていた。
いや~、語れば語るほど本当にいい映画だな~。ただ、あんなに下ネタ入れなくても面白いから、少しもったいない気がしたな。
しんちゃんといえば下ネタ的な部分もあるからねえ。私は、誰かを傷つけないよう、最大限配慮された下ネタが多くなっているなと感じたので、その点はあまり気にならなかったな。「お尻に穴があいてる」とか笑
あれはめっちゃ笑ったw
あと、もうひと声だなと思ったのは、あれだけ人数多い学園なのに、POC(有色人種)やプラスサイズの生徒がほとんどいないこと。その点は観てる間、ずっと違和感を感じてた。
確かに、更に様々な人を包摂し、肯定するシリーズになっていってくれるといいね。クレしんならきっとやってくれると思う。今回の映画も、希望に満ちた爽やかなラストだったし。おかげで、こんな大変な世の中だけど、明るくて前向きな気持ちで劇場を去ることができました。
あの余韻を残す終わり方、よかったね…。後日談とかダラダラ描いたりしないけど、しんちゃんと風間君がこのあと離れ離れになったとしても、ふたりの間にはずっと友情があるだろうし、この学園はこの後自由な校則の素敵な学園になっただろうと思わせてくれる。映画の台詞の通り、私たちも、「どんなことがあっても、いつか笑って話せるようで」ありたいね。
天カス学園はいいぞッ!!
完全同意!
ね、ね、せっかくだから明日の朝は焼きそばパンにしようよ~(^^)
私、焼きそばパン嫌いなんだよね(^^;)
えーっ(@@;;;;;)
(終)
※ちなみに、完全に偶然ですが、当ブログでは「転生したら霞ヶ関だった件(てんかす)」という、完全にこの映画とタイトル一致なゲームも公開していますので、お暇があればぜひプレイしてみてください!!多様性と霞ヶ関での生活の実態を楽しく学べるゲームです。
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